育児休業により賃金が支払われないまたは休業前の80%未満に低下した場合は、雇用保険制度から育児休業給付金を受けられる。
その支給期間は原則として「子が1歳(パパママ育休プラスに該当する場合は1歳2か月)に達するまで」であるが、保育所等の利用を申し込んだものの入れない場合には1歳6か月まで(特に必要と認められる場合は最長2歳まで)期間を延長することができることとされている。
こうした制度設計のため、「保育所への入所が可能になったのに内定を辞退する」あるいは「入所意思が無いにもかかわらず期間延長のため保育所の利用を(形式的に)申し込む」といった“モラルハザード”を惹き起こしていると、地方分権改革有識者会議で指摘された。
【参考】内閣府 >「第55回 地方分権改革有識者会議 議事概要」
これを受けて厚生労働省は、雇用保険法施行規則第101条の25第1号に「速やかな職場復帰を図るために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認める場合に限る」というかっこ書きを加え、この改正省令を令和7年4月1日から施行することとした。
具体的な手続きとしては、育児休業給付金の支給期間延長を申し込む際に保育所等の利用申込書の控(コピー)をハローワークに提出させることとし、次のような疑義が見られた場合は、それに合理的な理由があるかどうかを確認する。
・入所開始希望日が子が1歳(もしくは1歳2か月または1歳6か月)に達した後
・入所保留を積極的に希望する旨の意思表示をしている
・入所内定を辞退したことがある
・希望した保育所等までの通所時間が自宅または勤務地から30分以上である
これらに該当しても合理的な理由があれば期間延長が認められる場合はあるが、ただ給付延長のためだけに(形式的に)保育所利用を申し込む行為は今後は減るものと期待される。
これから保育所等の利用申し込みをする者はその申込書のコピー(電子申請で申し込んだ場合は画面を印刷したもの等)を取っておくべきだ。
また、会社も、それを育児休業を取得しようとする従業員に案内しておかなければならない。
もっとも、「速やかな職場復帰を図るために保育所等における保育の利用を希望している」ことは必ずしも保育所等の利用申込書でなくても確認できるのだから、もし控を取り忘れたといった場合は、臆せずハローワークに相談してみるとよいだろう。
文責: 特定社会保険労務士 神田 一樹
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