労働基準法第39条に定める年次有給休暇(以下、「年休」と略す)は、1日単位で取るのが原則だが、労使協定を締結することにより、時間単位で取れるようになる。 この制度(以下、「時間単位年休」と称する)を導入すれば、年休が取得しやすくなって、従業員のロイヤリティが高まり、会社のイメージアップも期待できる。
時間単位年休を導入している企業は、令和4年時点で25.9%に上っているそうだ。
【参考】厚生労働省 > 第2回労働基準関係法制研究会資料より
しかし、これに関しては、いろいろ注意を要する点もある。
まず、時間単位年休の対象となる日数は、「年5日“以内”」とされている。 「5日」でなければならないものでなく、例えば「1日」だけを対象とするのでもよい。
また、必ずしも「1時間」を単位とすることまでは求められていない。 「2時間単位」や「3時間単位」とすることも考えられる。 ただし、「分単位」とすることは認められない。
加えて、年の途中で1日あたりの所定労働時間数が増減した場合、それに連動して時間単位年休を取得できる時間数が増減することも要注意ポイントだ。
上記の調査結果を読む際にも、これらを念頭に置いておかなければならない。
それから、「時間単位年休を請求されたら会社は時季変更権を行使できない」と思い込んでいる向きが(労使どちらにも)見受けられる。 しかし、それはまったくの誤解だ。
会社は事業の正常な運営を妨げる場合は請求された年休の時季を変更することができる(同法同条第5項ただし書き)が、これは時間単位年休の請求に対しても有効だ。
ただ、1日休まれるより事業への支障は出にくいだろうし、そもそも時季変更権を行使できるのがごく限られたケースなので、時間単位年休に対して時季変更権を行使するのが難しいのは確かだ。
ところで、従来から「半休」を認めてきた会社も多いだろう。 これは、法令上の規定は無いものの年休取得促進の観点から、本人が希望し会社が同意した場合には、年休を半日単位で取得しても問題ないものとして取り扱われてきたものだ(H30.9.7基発0907第1号)。 この「半休」の制度が就業規則等に定められていたり労使慣行として定着していたりしたら、時間単位年休を採用したからといって、当然に無効となるわけではない。
関連して言えば、会社は年10日以上の年休を有する者には5日以上を取得させなければならない(同法同条第7項;平成30年の法改正で新設)ところ、半休は「0.5日」としてカウントできるが、時間単位年休はこの日数に含まれない(H30.12.28基発1228第15号)。 これも覚えておきたい。
文責: 特定社会保険労務士 神田 一樹
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