近年は、企業内での労働組合の組織率が低下している(推定組織率16.1%;厚生労働省「令和6年労働組合基礎調査」より)一方で、合同労組が労使紛争に関与するケースが増えている。
「合同労組」とは、企業の枠を超えて地域単位で労働者を組織する労働組合のことで、「一般労組」・「地域ユニオン」等とも呼称される。
そして、合同労組も労働組合法にいう労働組合であるのだから、団体交渉を申し入れてきたら、会社は正当な理由なくそれを拒んではならない(労働組合法第7条第2号)。
これは、自社に在籍する組合員がごく少数(極端な例を挙げれば「アルバイト1人のみ」)であったとしても、同じだ。
また、企業内労組との間に「唯一交渉約款」(他の労組とは交渉しないという取り決め)を結んでいる会社があるかも知れないが、これに関しては、「労組法違反を約することになり現行法上無効の規定である」との行政通達(昭25.5.13労発第157号)が発せられており、企業外労組からの団体交渉を拒否する理由にはならない。
では、逆に、団体交渉を拒否できる“正当な理由”とはどんなものか、以下に例示してみる。
・申し入れた団体が労働組合でない場合
(労働委員会の資格審査を受けていることは必須要件でない点に要注意)
・会社が組合員の労働条件に関する決定権限を持たない場合
(典型例:関連会社の従業員についてその労働条件の決定権限を持たないケース等)
・労組側に暴力的・威圧的な言動があった場合
(単に「“ブラックユニオン”との噂がある」というだけでは拒否する理由にならない)
・肉体的な限界を超えるほど長時間にわたる交渉を強要された場合
・あまりに頻繁に開催される団体交渉のため生産上の支障が発生する場合
・交渉事項が義務的団交事項でない場合
(経営方針や会社組織に関しては労働条件に関係なければ任意的団交事項である)
・交渉事項が裁判などで決着済の場合
・交渉を尽くしたが双方の主張が平行線で合意に至る可能性がない場合
・交渉事項に知見のある管理職や弁護士等の同席を労組が認めない場合
(ただし決定権限を持たない者のみを交渉担当者とすることは不誠実団交となる)
いずれの場合でも、団体交渉を拒否するならば、その理由を明確にして返答するべきだ。
ただ“無視”してしまうのは、仮に正当な理由があったとしても「団体交渉拒否」(=不当労働行為)とみなされ、それだけで会社側には不利になってしまうことを覚えておきたい。
文責: 特定社会保険労務士 神田 一樹
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