「休日に働かせたら135%の賃金を支払わなければならない」と認識している経営者がいるかも知れないが、その「休日」というのが、所定休日(会社が定めた休日)のことを指しているのだとしたら、それは正しいとは言えない。
たしかに、労働基準法第37条に関する政令(政令第309号H12.6.7)には、「これらの規定により労働させた休日の労働については三割五分とする」と定められている。
しかし、ここでいう「休日」とは、労働基準法第35条に定める休日(法定休日;1週1日または4週4日)を指しているのであって、法定外休日は含んでいないのだ。
したがって、休日労働させた場合の賃金は、「それが法定休日だったら135%(正しくは135%以上。以下同様)だが、法定外休日だったら、法定労働時間(1日8時間または週40時間)以内は100%、法定労働時間を超えた時間数につき時間外労働としての125%(ここでは変形労働時間制や月60時間を超える時間外労働は考慮しない)」ということになる。
もちろん、法定休日も法定外休日も区別なく135%を支払うこととするのは問題ないし、そもそも、三六協定を締結していなければ休日労働も時間外労働も命じられないのは言うまでもない。
ところで、週休2日制の会社は、その2日(例えば土曜と日曜)のどちらで労働させた場合に、法定休日労働として割増賃金の対象となるのだろうか。
これについては、就業規則等に定めがあればそれに従う。
就業規則等に定めが無ければ、行政解釈(「改正労働基準法に関する質疑応答」H21.10.5)によれば、暦週において後順に位置する休日(土日休みの場合は土曜)を法定休日とすることになる。(参考裁判例:東京地判H20.1.28)
では、法定休日を就業規則等で定めておくのがよいかと問われると、会社ごとに決めるべきとしか言えない。が、一般論としては、定めておくのが望ましいとされる。
というのは、
・(三六協定により休日労働は可能となるとは言え一応は)定期的な休日を確保できて労働者の生活のリズムを整えるのに寄与する、
・事務処理ルールを明確化しておけば経営者も労働者も取り扱いに迷うことがなくなる(事務方のミスも生じにくくなる)、
といったメリットが挙げられるからだ。
また、経営者側の立場では、「休日労働」は「時間外労働」には数えないことから、法定休日の設定を工夫することで月60時間を超える残業(50%の割増賃金が発生)を抑制することも可能だ。
ちなみに、令和7年1月8日に公表された『労働基準関係法制研究会報告書』(P.41)は、法定休日を予め特定すべきことを求めている。
近い将来、労働基準法で義務づけられることが予想されるので、法定休日について就業規則等に定めを置いていない会社は、早めに検討を始めておくとよいだろう。
文責: 特定社会保険労務士 神田 一樹
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