社内に「賞罰委員会」や「懲戒委員会」といった組織を設けている(もしくは必要に応じて設けることとしている)会社もあるだろう。
 賞罰委員会は“賞”と“罰”を議論するので常設のもの、懲戒委員会は懲戒事由が発生した場合に設ける臨時のもの、というイメージがあるが、必ずしもそうでなければならないものではない。 また、設置するもしないも会社の任意ではあるが、特に懲戒委員会は、設置することで次のようなことが期待できる。
  1.複数の委員が審査することにより、事実誤認や偏った判断が防げる
  2.被処分者に弁明の機会を与えることにより、納得感を与え、また、反省を促せる
  3.トラブルに発展した場合に、処分の合理性を主張できる

 そもそも、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない懲戒処分は無効となる(労働契約法第15条)ところ、経営者の独断で決めた処分は自ずとこれに該当しがちだ。 そこを慎重に見極めるのが懲戒委員会の最大の目的と言ってよいだろう。

 懲戒委員会を設置する場合、その構成は、「監察的な立場の者」・「被処分者を弁護する立場の者」・「法律やコンプライアンスに詳しい者」の三者(それぞれ同数と限るものではない)によるのが一般的だ。
 その中で「座長」については、会社ごとに(あるいは事案ごとに)事情は異なるところだが、最終的に「会社が判断した」ということを内外に示すためにも、経営者がその任にあたるのが妥当と考えられる。

 懲戒委員会の具体的な運営方法に関しては、「懲戒委員会規程」等の形で明文化しておきたい。 無論、就業規則(本則)中に規定を置いてもよいのだが、あまりに細かくなってしまうのと、「就業規則には“実体法”的な性格を持たせ、“手続き法”的なものは別規程に委任する」という規程作成上の手法もある。
 なお、これを別規程として制定するにしても、就業規則の一部であることには違いないので、従業員に周知し、過半数労組または過半数代表の意見を聴いて労働基準監督署へ届け出なければならない。

 そして、懲戒委員会を設けることとした場合には、実際の懲戒事案に際しては、定められた手続きに則って懲戒委員会を開催しなければ、懲戒処分そのものが無効となる可能性がある。
 その意味では会社も窮屈にはなるが、それでも、上に挙げたメリットを考えれば、やはり、懲戒委員会は設けることとするのが望ましいと言えよう。



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