「進退伺い」は、業務上の不始末を起こした従業員が、その責任をどう取るべきか、会社(経営者または上司;以下同じ)の判断を仰ぐために提出する書類をいう。

 会社側が提出を命じる(懲戒処分の一環としている例も多い)「始末書」とは異なり、「進退伺い」は、ミスや不祥事を起こした本人自らの意思で書いて提出するのが通例だ。
 しかし、現実には、社内慣行として、あるいは懲戒解雇にしないという温情を込めて、進退伺いの提出を勧める会社もあるようだ。

 ところで、従業員から進退伺いが出されたら、会社は、どう対処するべきだろうか。

 会社としては、まず、それを受理するか否かを慎重に検討しなければならない。
 というのも、進退伺いに返答する形で退職させた場合には「合意退職」とみなされる可能性がある(詳細は後述)ので、懲戒解雇に該当する事由が存在する場合は、受理するべきでないからだ。

 そして、進退伺いを受理した後の対処としては、次の3つの選択肢が考えられる。それぞれ注意点とともに整理しておこう。

選択肢A:退職させる
 進退伺いは「労働契約解除の申し込み」という性格を持つので、会社がそれを承諾して「合意退職」とする。
 本人から改めて「退職届」を提出させることも考えられるが、その場合は「自己都合退職」の扱いになり、トラブルの火種を残すことは承知しておきたい。

選択肢B:処分(懲戒解雇以外)を科す
 慰留したうえで、懲戒に関する規定に則り何らかの懲戒処分を科す。または、懲戒処分と併せて(あるいは懲戒処分は科さずに)、人事措置としての「降格」や「降職」とする。
 この場合には、反省を促す意味から、本人自ら「辞任届」を提出させることも考えられる。

選択肢C:不問とする
 もちろん事案の重さにもよるところだが、「不問とする」のは、多くの場合、最も有効な対処と考えられる。
 進退伺いを書いた時点で当該従業員は反省し責任を感じているのだから、それを教訓として今後に活かしてもらえれば、より高いパフォーマンスが期待できるだろう。

 大事なことは、処分することではなくて、ミスや不祥事の再発を防止することであるはずだ。
 一時の感情でそれを見誤らないようにしたい。



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