通算5年を超えて更新された有期契約は、労働者が申し込むことにより無期契約に転換する(労働契約法第18条)。
さらに昨年4月からは、該当者には契約更新の際に、無期転換を申し込める旨を明示しなければならないこととなった(労働基準法施行規則第5条)。
一方で、高年齢者雇用安定法第10条の2は、会社に、70歳までの就業確保措置を講じることを努力義務として求めている。
そうすると、60歳定年の会社において定年後に有期契約の反復更新により継続雇用している者を65歳以降も雇い続けるケースがあると、無期転換権が発生し、それを行使されると、雇用期間の定めが無い文字通りの“終身雇用”になってしまうことになる。 もちろん、それを会社がよしとするなら問題ないわけだが、だとしたら、定年後に有期契約で雇用していた意図に反してしまうのではなかろうか。
では、こうしたケースで無期化させたくない場合、会社はどうすればよいのか。
その場合、会社は、「対象労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置についての計画」を作成し、本社の所在地を管轄する都道府県労働局長の特例(第二種)認定を受けておけば、定年前から勤務していた者については、5年を超えるという理由で無期転換することはなくなる。
具体的には、以下のいずれかの措置を講じて、『第二種計画認定・変更申請書』および講じた措置に係る疎明資料を、都道府県労働局(または労働基準監督署)へ提出する。
a) 高年齢者雇用推進者(高年齢者雇用等推進者)の選任
b) 職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等
c) 作業施設・方法の改善
d) 健康管理、安全衛生の配慮
e) 職域の拡大
f) 知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進
g) 賃金体系の見直し
h) 勤務時間制度の弾力化
そして、労働局長の認定を受けられたら、該当者には契約更新の際に「無期転換申込権が発生しない」旨を書面で明示(労働条件通知書への明記等)する。
なお、定年後に継続雇用されている者の無期転換を回避するために、「第2定年」(例えば70歳)を設けるというのも妙案ではある。
しかし、新たな定年制度を設けるのは紛うかたなく労働条件の不利益変更であるので労働組合等と丁寧に話し合ってから決めなければならないし、また、70歳を超えてさらに有期雇用で雇い続けたい人材がいた場合に同じ問題が生じることも想定されるので、それはどの会社にも適した策とは言い難いだろう。
文責: 特定社会保険労務士 神田 一樹
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